(これは、2013年早稲田祭の人研緊急講演会の記録である。てきとーな。)

 

 

ジーザス謝罪篇

司会:あ、ああ、あの・・・早稲田祭のパンフレットには載せたまんまになってしまっちゃったんですが、今日もしかしたら、間違えて又吉イエスの講演会を聞きたくて来てしまったという方がいらっしゃるかと思いますんで、こちらの経緯をお伝えお伝えさせて頂こうかと思います・・・

 

(ざわざわ)

 

司会:えーと、こちらなんですけども、又吉イエスの講演会、失敗のお詫びと詳細を語らせて頂きます!

ことの経緯を言いますと、最初お電話でですね、又吉さんの方に出演の了解を取れたのですけども、その後、10月の半ばに又吉さんの方から僕らの方に電話がございまして・・・。

その内容と言うのはですね、ざっと、(スクリーンいっぱいに謝罪文)

「私、又吉イエスは唯一神である!唯一神の定義上、私は人物ではない!ものごとの道理を教える唯一神としては、人間を題材とした企画を取り扱う企画に出ることは出来ないっ!!!」とかいう、啓示を頂きまして・・・。

(場内から笑い)

まあ弊会は人物研究会という名前でございますので、ひとえにこの名前の故の、凡ミスでございます。

この場をお借りして謝罪申し上げます、まことに申し訳ございませんでした!

本日ご来場頂きました方々にも、わたくし、心よりお詫び申し上げます、すんませんでした!(苦悶の土下座)

 

  

はい。つーことで、改めまして企画を始めさせてもらいます。司会を担当させて頂きます、(人研員K)と申します。文化構想学部の3年です、本日はよろしくお願いします。

(場内拍手)

と言う事で、ここからはかなり真面目なお話になるのですけど、まずですね、最初にお話して頂くのは、秋の稲穂に風たちぬ、早稲田の誇る名店!タンメンで有名なこちら「稲穂」です!稲穂のお父さん、オヤジさんにちょっと壇上に上がって頂きますんで、よろしくお願いしまーす。

(場内拍手)

いちおう時間につきましては、本日も稲穂は営業されるということでございましてお忙しい時間を割いて来ていらしゃるので

20分か30分程度ということでよろしくお願いします。 

 

本日は公開インタビューという形になりまして、僕が簡単な質問をして、それに対して受け答えをして頂くという形で、一応、講演会みたいなことでやらして貰いたいなと・・・?

 

(場内から「エルムは?」の声)

 

え?あの、エルムのオヤジさんはですね、ちょっとあの、馬券、競馬?よく分からないのですけども、あのっ、諸事情によりまして遅れるとかいう情報が・・・あ、遅れる様です(笑)

1時半過ぎには来ると思いますんで(笑)、もう少々お待ち頂ければと、・・はいっ。

 

ファンタスティック稲穂篇

ではその前に、稲穂のオヤジさんにちょっと早稲田との歴史だとかについて、いろいろ語って頂きたいと思います。 

それではオヤジさんよろしくお願いします。

(以下、人研が「人」、稲穂主人がタンメンの「タ」)

 

:皆さんこんにちは。

(場内:こんにちは。)

:なんか、あのっ、司会をやられる方は、この頃とても売れっ子のテレビの俳優さんの様に土下座をして謝るというのはたいへん上手だと思っています(ヒキ笑い)。 

:突然、私のような者を壇上に上がっていろいろと話せということでございましたが、ただ、私はこの南門の左側にございます「稲穂」という食堂を今から約60年前に私ひとりで立ち上げまして。

実は私の叔父はシノザキタカノスケと云う名前で政経の教授をしておりました。

そして私は茨城県の方で工場を経営していました。

どうも日立の工場は泥臭いのと、昔、学校は東京の方でしたもんで、出て来て研究をしながらやんなくちゃいかんなぁと思って、その叔父のところへ伺いましたらば、こう言われたんですよね。

「早稲田が潰れる時は日本が潰れる時だ。日本が潰れる時は早稲田が潰れる時だ」と。

だから、ひとつ、こういうところでやってみたらどうだと言われて開店した訳です。

約60年それから、ですから、私のところは今、食堂をやって居りますけど、早稲田関係、早稲田の学生を含めて8人の(親類の)者が早稲田にお世話になっていると言う訳で、いろいろと、また近くに居て。

目にするのは、早稲田の良いところも見えますけれど、悪いところは良く見え過ぎるんですね(苦笑)。

 

:悪いところと言うのは?

:いや、ところがですね私の親戚が実はいまも教員なんですが、さっき、「早稲田の悪い所を分かり過ぎているからあんまり批判をするなよ」とFAXを打って来たところでございますので(笑)・・・。

えー、それはお世話になっている早稲田でございますから、ほどほどにしましてお話したいと思います。

:あ、ありがとうございます(苦笑)。

 

:あの最初にですね、ご主人のお名前からお伺いしたいのですけども、お名前は・・・?

:えー、長谷川弘です。

:お店を始められたのは具体的には何年ぐらいから?

:昭和34年です。

:昭和34年ということは、半世紀以上ですかね。その当時、何歳からお店を始められたんでしょう。

:だいたい30ぐらいですねぇ。

:それまでは他のお店とかで修行を積まれたんですか?

:いやいや。その修行はともかくなんですが、その前は茨城県の筑波山の下の方で・・・

:筑波山?

:はい。織物工場をやっていました。

:織物工場で働かれていたのですか?

:経営していました。

:経営していらした!? そっから早稲田に?

:そうです。

:早稲田との接点というのは、じゃその、30過ぎてから?

:そうですねぇ。

:それまでは特に早稲田とは?

:いや、やっぱり学校の関係がありますから、早稲田をよく知って居りましてですね、叔父が教授で居ましたから、よくいろいろ話を・・・

(冒頭の話がループ、ざわつく)

 

:(話をぶった切って)その、じゃああの、稲穂と言えばやっぱりタンメンって言うが今の学生の共通認識だと思うんですが・・、始められた当初から名物メニューだったんですか?

 

:まぁねぇ。もう一人叔父が、これは当時税務省の課長をやって居りまして、そこを尋ねて相談に行ったらば、

「今(あなたは)社長だけれども、食べもの屋をやるとしたらば、まだ若いから、3年間皿洗いをしろ。」

「その皿洗いが出来る様だったら、転向してもいいんじゃないか。」

、ということで私は探しまして、始めの1年半は東京駅の八重洲口の前でやりました。

そして後の1年半は浅草のすしや通りと云う賑やかな所に居りましてねぇ、そこの先輩のうちでやりまして、丁度3年やったんです。

それで約束が果たせたから、じゃ自分で始めようと思って、いろいろ東京中見回していたところが、早稲田にたまたま空いてたところが有りまして、そこをお借りしてスタートした訳です。

 

:へー!えーと、じゃ、長谷川さん自身は、早稲田大学のOBというわけではない・・?

:いゃ、OBは後からですね。

:後から?

:ええ。というのは、早稲田大学はたいへん良い組織を持っていて、後でもお話しますが、あのーっ、エクステンションという・・

:あー、エクステンションセンターですね。

:でー、やっぱり一番勉強してんのは商学部、今の、あれは・・あの、・・・商学部のなんですか・・??先生なんかにいろいろ教わって居ります。なかなかねぇ、勉強する暇が、まぁ、ありませんでしたから。(しみじみ)

 

:さて、稲穂と云えばその長い歴史の中で、当然60年代の安保闘争とかそういった時期も経験されていると思うんですけれども、そのときの学生とのおもしろいエピソードみたいなことがあったら、ちょっと簡単に教えて頂けないでしょうか?

 

:喧嘩は好きですが、あの、私は日本人だけでなく留学生とも親密な関係が有りまして、また、当時私は早稲田のサッカー部のマネージャーをやって居ましたもんで、大学の方でもそれを知っていて。留学生には香港の連中やインドネシアの連中が居た訳ですよ。そしてそのコミュニケーションを取らせる為に、ひとつサッカーをやらせようと・・。だいたい私がサッカーをやっているんで、まぁ、ちょうどいい、レフリーぐらいやって貰おうと云うことで、今の体育局ですね、あそこの体育局がその時はグランドになっていたんですね。

:へえー。

:それで、今、申しあげました香港の連中と、それからインドネシアの連中とを闘わさせた訳です。えーっ、それで、本当にそれが、ねぇ・・。

:安保闘争の時の話とかは?

:安保闘争よりも喧嘩がねぇ、早稲田も喧嘩好きですからね、随分政府とも闘っていますから(笑)

:え、あうあ、在野の精神とか言いますもんね。あ、安保の頃とかは・・

:ええ、でも、まぁ、ともかく、その、香港とそれからインドネシア(の留学生)をそこでサッカーの競技をやらせた訳ですね!(質問を華麗にスルーされる)

ところが、それが仲良くやっているならばともかく、ところが、やっぱり、時間が進みまして最終頃になってきますとね、インターナショナル(?)になってくるわけですよ。

でーっ、最後の3対3というところで、始まったのが闘争なんですよ!その結局、キーパーにぶつかって来て、転んだキーパーがそのぶつかって来た選手にイッパツ食らわせたところが、もう、それが契機となって、ボコボコボコボコということんなって、私も一生懸命、笛を吹きながら中止をさせるということでしたけれども、それがボコボコんなって両方とも選手がこう、アワアワーッとなってね、もう膨れ上がっちゃった様な状態でした(笑)。

まぁそれがあのっ、安保闘争ではないんですけれども、そのーっ、留学生の双方の闘いということですね。

:なるほど(苦笑)。

 

:その留学生がですね、つい11月の19日のホームカミングデーに香港とそれから、それを仲裁した中国の連中が電話を掛けて来て。しかし大したもんですねぇ、その留学生が飛行機を乗り継ぎ、新幹線を乗り継いでピタッと私のところへその日に来たという・・。

:あー、じゃタンメンとか召し上がられたんですか?

:要するに、会いに来て私の話を聞きにきたんですね。

 

:その、いまですね、学生の中でタンメンの誕生秘話というかですね、どうしてタンメンなんですか?という質問がきまして・・・

:実はその稲穂と云う名前は、実は私、茨城の教育は旧制の方で終わりましたけれども、そこに、あの、クラスメートの中で東大へ行ったやつと慶応へ行ったやつがいまして。

東大へ行ったやつは前、農林大臣をしていた高木というやつなんですが、それの倅と慶応へ行ったやつで、俺んとこの名前を早稲田に居るんだから、考えろよとと言って命令しました。

命令と言うってことないですがお願いしました。

そうしましたら東大のやつはみずほと、それから慶応のやつは稲穂と名前をつけて来ましたもんで、私もどっちがどうだかはっきり分からないんで、それを易者のところへ持って行って、どちらがいいですかと感覚だけでもいいから教えてくれと言ったら、

「そりゃ、早稲田から稲穂だろっ!」

ということで、その稲穂という名前をクラスメートにつけて貰って、60年使って居るわけございます。(タンメンの話は華麗にスルー)

:あー・・・そうですか・・・。

:校章がね。稲の様ですからねぇ、はい。でぇ・・

 

(ここで司会者に「長いから切れ」との指示が)

 

:あのっ、そろそろ、稲穂の長谷川さんへ質問なんかございましたら、ちょっと人生相談とか何でもいいですけど、どうですか?

:難しい質問には・・あのっ、

:(早稲田精神)昂揚会の方とかは、今日いらっしゃったりとかします?

(場内手が挙がる)

:ああ、そうですか(笑)。

:昂揚会の奴らは、どうですか?イヤな奴ばっかですか?

:イヤな奴らばっかり、でもない様です。

(場内笑い)

 

:あ、じゃあそこの方どうぞ!

来場者:味付けとか、なんかコダワリはありますか?

:味付けとかは、体験ですよ。

来場者:体験???

:ええ、やっぱり、あのおー、自分の作ったものの味付けに関しては、食べて頂いた方のまず顔色を見て、ねっ?青くなるか白くなるか。

(場内爆笑)

:特に学生さんがた、みんな青っぽいですね。(???)

たとえばウチは一番上の娘が坂の上のポン女を出まして、管理栄養士をやっていますから、それに研究させて作っている訳ですが、あのやはりですね、じっとそのひとの顔を見ていると、味がいいか悪いか、それから、どういう風にしたらいいかどうかと言うのが、まず顔に出ていますねぇ。

 

:ありがとうございます。他に何か質問ある方ございますか?

 

来場者:あの、早稲田精神昂揚会と仲が良いという話を何かお聞きしたことがありまして・・・。

:おだ先生?

(場内爆笑)

来場者:へっ?

:はあ。ねぇーっ。早稲田精神??中学のときのおだ先生ですか??

来場者:・・・。

:・・・。

:・・・。

(一瞬場内を不思議な空気が包みこみ、長谷川さんの意識の裂け目が御開帳する。しかし、みんな平静を取り戻す)

 

来場者:早稲田のサークルの昂揚会と仲が良いと言うのを聞いたことがあるので。

:うーん、仲がいいと言うか、よく昂揚会の方々、昔から来て頂いたから、その様になっちゃってなったんだと思いますけど。なかなかいい人物居ますよ、昂揚会に。で、丁度わたしのところが始まったのが昭和34年でしょ、昂揚会もその近辺で始まっているわけですから。それとあれでしょねぇ、ちがったと思われますけれども、ぞっこん惚れているわけではありません。どうぞご心配なく。

来場者:・・・。

:・・・。

:・・・。

(一瞬場内を不思議な空気が包みこ・・・)

 

:はいっ!ありがとうございましたー!!!

(場内拍手)

:最後に早稲田の学生に向けてひと言。お願いします!

:「早稲田の校歌、都の西北くらい良く覚えておけ!」

:ありがとうございました!

 

 

怒涛のエルム篇

:えー続いてですが、エントリーナンバー2番、「カルボの他に言葉はいらない」エルムのご亭主山口さんに壇上に上がって頂こうかなと思います、拍手でお迎え下さい。

(エルムのおやじエプロン姿で壇上に上がる、場内沸く。拍手&「おおおw」)

(以下、人物研究会が“人”、エルムのおやじこと山口さんが“エ”)

 

:ちょっとマイクの音を大きめにさせて頂きます。・・・あらためましてよろしくお願い致します。一応うちは人物研究会というサークルなので、その人となりからちょっとお話を伺おうかなあーっと。

:(・・・笑顔でうなずく)

:まずその、お店を始められたきっかけは元々どんなとこだったんですか?何歳のときに?

:わたしはね、中学卒業して、次の日は東京で働いてました。築地でね。

:出身はどちら

:(即答)仙台!仙台。みんな、集団就職して働いてたわけですから。わたしは一人ですよ。就活して、卒業したらすぐ行きますってことでね。

:その頃ってことは、現在おいくつなんですか?

:69、今年で70。

:そうなんですか。じゃあ15歳から築地で働きだしてって、やっぱ料理屋さんですか?

:料理です、そこからずーっと(いままで)いろんな仕事やってきた。

:ずっと料理の道を?

:そうそうそう。

:包丁を片身離さず?

:もうどこでも働いてます。山手線の駅は全部働きました笑。

:すごい(笑)

:それから小田原からね、仙台からね、松島かr(小声でぶつぶつ)

:(さえぎって)マイクもうちょっと近づけてもらえますか?

(一同爆笑)

:もうどこでも働いてますよ、六本木とかね。出前もやりました。特許庁から文部省大蔵省外務省警視庁!防衛庁に(ぶつぶつ)

:っちょマイクを・・・

(一同爆笑)

:まあ色々やりました(照れ)。料理覚えたら店変えてまた次の店。お店がいっぱいあったからね昔は。そんで、こっち来たのはね、31年前。高田馬場でね、エルム。

:え、はじめ早稲田じゃないんですか?いまの店じゃない?

:いまの店(南門近く)は7年、そのまえは正門近くで16年、(馬場)駅前で8年、ぜーんぶで31年。 (お客は)全部学生さんですよ!

:あーなるほど。正門近くって、たしか本屋さんの上でしたっけ?

:そうそう

:で、さらにその前は高田馬場駅前の?

:国際センターの下。パチンコ笑

:え、あ、あのパチンコ屋の地下で笑!!名前はずっとエルムのままで?ひとりでやってたんですか?

:ひとりで!お客さんが10人、じゅu・・・(以下聞き取り不能)

:聞き取りが笑。・・・えっとじゃあ、お店のメニューとかは昔から変わってないんですか?

:変わってないよ。カルボとか。あれは、私がまかないでたべてte(多分カルボについてだが聞き取り不能)

:あれはでもカルボ?・・・じゃないですよね?

(一同爆笑)

:中身は全部カルボなんだよ!

会場:え?

:ぼくが今まで食べてきたカルボナーラとはなんかちょっと違うっていうか笑

:おそらくね。(カルボナーラは)クリームとか入れてねかき混ぜるだけだからね、日本人にはあれは合わない(断言)。だいたいあれは高いじゃない900円くらいしてね。

:でも、あれ?カルボナーラってメニューにかいてますよね?でもカルボ・・・

:和風カルボナーラ!///

(場内どよめき)

:私だけが考えたんだよ。

:あ、あぁ・・・

:だって同じのやったってしょうがないでしょう。この前も味つけが絶妙だとかって。

:確かにこの前『散歩の達人』に取材されてお店載ってましたよね笑

:テレビだって6回くらい取材されたんだよ。ほら早稲田卒のOBで・・・(以下聞き取り不能)

 

:有名な「エルムの掟」についてなんですが、開店当時からあったんですか?

:ないよあれは。

:早稲田きてから?

:こっち来てからあれは。

:なんで作られたんですか?

:「掟」ってのはなにもないですよ、ただこうやってくださいって言うだけであって。水はセルフサービスで、食べたものは(カウンターに)上げるってね。

:まあ、当たり前のことですよね!ええ。

:ひとりでやってるからね。それはお昼混みやすいんで一緒に来た人は同じメニューで、ってやると一緒に帰れるでしょ?

:そ、そうですね。

:いつまでも時間ばっかり掛かっちゃうから。そうすると値段を上げなきゃいけないのよ。だから、値段は31年間おんなじですから。

:おおー。

:一円も上げてないの。

:消費税導入前から?

:そうです。こんどまた消費税上がると思うから。(他の店は)上がると思うよ。

:エルムは?

:わたしは上げないんだから(断言)。

(人研&客席「おおー」&拍手)

:なるほど。じゃあ、早大生が「掟」を守ることによってエルムの値段と味が受け継がれてってるってことなんですね。すげえ笑。

:そうそう。

 

:あの、昔からエルムといえば「カルボ」だったんですか?

:いや「ピラフミート」。大隈講堂の横でやってたときは・・・

:え?「カルボ」じゃかったんですか?

:「ピラフミート」がねえ、一番だね。全部来るひとピラフミートピラフミート。皿を何百枚も、もう。(昔の店は)ピラフミートが多くてね。でもこっち(現在の店)は狭くて皿が並ばないんですよ。

:たしかにピラフミートはでかい四角い皿ですよね。で、カルボは丸い皿みたいな。

:そして、少し、「グレードアップ」して笑。

:ん?あ、カルボを?

:そう。値段上げないでグレードアップだけしたの。

:どの部分が「グレードアップ」したところなんですか?

:中身を、おいしく、したの。

:ど、どの部分を・・・?

:これ言うとね笑。よくうち(の店)に来てお客さんが家で作ったんだけど「この味にならない」って言ってね、おんなじように見てるんだよ?オープンキッチンだから。

:じゃあ味の秘密ってあるんですか?今日40人くらいしかいないんでまあちょっと(教えてくれませんか?)

(拍手)

:教えたら、そんな(以下聞き取り不能)。こうするんですよなんて言っちゃったら、ハイ終わり、です。

(客席爆笑)

:あの、作る際に最初に鍋の中に入れてる塊みたいなのってバターですか?

:あれはマーガリン。

:マ、あの植物性のを。へえ・・・。

:植物性だから健康にいいでしょ!?

:いや健康にいい?ですかね???ま、まあたしかに、あの味を出そうと思ったら家庭用マーガリン1箱ぶち込まなきゃなんないし、なかなか自宅では再現できないですね・・・。

 

:でも、月曜日から土曜日までお店やられてますがお休みの日はなにされてるんですか?

:休みは仕入れ。仕入れ行って、ええ・・・(小声で)馬券買って///

:じゃあ今日も金賭けて笑。ちょっと今ラジオで実況聞けないかなあ。

:たぶん当たってるから(いいよ)。前は競輪専門だったんだけど競馬にしたの。だから競輪場もどこでも知ってるよ。

:じゃあ、ぼくらがエルムで食べたお金が馬のエサ代に・・・

:競馬で儲けて安くしてんのよ!

(客席から「よっ!」「さすが!」の歓声)

:JRAもエルムの経営に関わってたんですね笑。仕入れは今日も?自転車ですか?

:今日も、2時間くらいで終わりだね。馬券まで仕入れなくちゃなんないから。自転車でどこでも行くよ、ほんとに自転車操業。

(場内爆笑)

 

:今度の東京オリンピックの時エルムはまだありますかね?僕が社会人になっても、またあの時の味が食べたいなあと多分思うんですが。跡継ぎの方とかはいらっしゃいますか?

:跡継ぎはいま探してるのね。やってくれるひとは家賃だけでどうぞって言ってるんだけどね、あとは全部教えるからって。

(場内「おおー」)

:おお!じゃ、あの、この中にエルムを継ぎたいって方いらっしゃいますかー!?

(急に静まり返る)

:(察して)・・・あ!たくさんいらっしゃいますね苦笑。

 

:ご結婚はされてますか?

:してるよ、ひ孫が2人います。娘と息子がいて、18歳で長女が生まれたの。

:18歳でですか!?その時も働いてらっしゃったんですか?

:働いてたよ。あとちゃんと勉強もしてたしね。日仏学院行ってフランス語を習ってたの。

:じぇじぇ!?日仏学院ですか?

:えへへへへ笑。フランス行こうと思ったのよ、(料理の勉強で)なにも知らないよりは喋れた方がいいだろうと思ってね。あと絵も描いてたから。

:絵も描かれてたんですか、あれですか、あのエルムに飾ってある絵(本キャンイチョウ並木の風景画)もおじさんですか?

:そうです、どこでもあちこち描いてたね笑。

:すごいですね笑!当時いろんな店で働いていらっしゃったんですもんね。やっぱり弟子として働いて技を盗んだメニューもエルムにあるんですか?

:ああありますよ。いろんな店いって、こうこうだなこれは白ワインだなとかe...

:(さえぎって)カルボは・・・?

:(話つづけて)ああこれは肉をいれたほうがなんっつt...

:カルボは?

:カルボは自分でやった、うん(笑)。おいしいでしょ?

:おいしいです!他には絶対ない味で大好きです!!じゃあそろそろなにか質問を受け付けたいんですが、なにかございますか?

来場者:キッチンエルムっていうお店の由来をちょっとお伺いしたいんですけども。

:エルムはね、英語でね「楡(にれ)の木」。楡の木がすごく大きくなるらしいんだよね。だからそれにあやかって(店が)大きくなるんじゃないのかなと思ったら、ぜーんぜん大きくならないの笑。

(場内爆笑)

:失敗した!間違ってるの笑。

来場者:映画で『エルム街の悪夢』ってあるじゃないですか、それとの関連は・・・?

:それはしりません

:結構有名ですよ・・・?ま、まあ長く続いてるからいいんじゃないでしょうか。

 

:あの、今日ご来場のみなさまはエルムにいったら何を頼まれますか?カルボの方。

(客席の8割カルボ)

:やっぱ結構カルボ強いですね、じゃあ他の方は?

:最近はねぇオムライスが多いんだよ。

:オムライスが一番めんどくさいっすよね?

:これがいっちばん時間かかるの!

:おまえらオムライスなんて頼むんじゃねぇよバカヤロウ!どうして?なぜオムライスを頼むのかお話伺いたい!オムライスの方、どうですかこれを受けて?

オムライス信奉者:オムライスが単純においしいんで。一番おいしいかなと思ってよく頼んでます。

:どうですか?

:ちゃんとソースを2〜3時間煮込んでやってるからね。・・・笑だからいい味だろ?

:でも一番時間がかかるメニューですよ?

:炒めるのにね、時間掛かるからね、いいよそれは笑。

:・・・でも作るとき、なんかブツブツ言ってるじゃないですか?

:ん!?

:なんか怒られてるのかなって思っちゃうんですよ。

:ちがうちがう、アレは調子取ってんだよ。

:はあ・・・エッ!?アレは調子取ってるんですか!?自分を励ましてたんですか!!?

(場内爆笑)

:そうそう笑

:タイミング見計らってメニュー頼んだり怯えてたんですけど・・・

:んーだいじょぶだいじょぶ。

:だいじょぶなんですかぁー!?初めて知りました。

:で、あのブツブツは一体なにを言われてるんですか??いまいち聞こえないっていうか、とりあえずハイハイとかって言うんですけど、正直わかんなくてですね・・・

:あはは。そう?まあ結局忙しいから「麺オムライス麺オムライスだよ」とか。

:は、はぁ〜

(場内理解不能)

:混んでるときはね。「2時以降2時以降」とかって言ってんの。フハハハハハ。

:は、はぁ〜。「2時以降」・・・ですか。

:注文一緒じゃないと困るから。ね。

:じゃあアレ、別にブツブツ言ってても僕らに怒ってる訳じゃないと。敵意は無いと?

:ぜんぜんぜんぜん笑。

:なんか安心しました笑。・・・では、最後に早大生に向けてなにか一言いただけますでしょうか?

:んん、直接言っちゃうからね。

:・・・ない?

:ううん・・・ないですね別にね。

:ない!ということです笑、ありがとうございました!

(場内拍手&爆笑)